マスク着用でなぜ熱中症になりやすいのか?
そもそも、人間は気温上昇などに伴い体温が上昇したときに、体温調節機能が働きます。
これは、上昇しすぎた体温を熱放散させる作用で、発汗などがそれにあたります。
水分を蒸発させる気化熱によって体温を下げようとするわけです。
これは、呼吸でもいえることで、息を吐くときに熱を発散させています。
しかしながら、マスクをしていると呼吸による熱の発散、放熱ができなくなります。
つまり、マスク着用で熱中症になりやすい一つ目の原因は、呼吸からの熱放散能力が低下するために体温が下がりにくいことなのです。
そしてこの熱放散にはエネルギーが必要になるわけですが、エネルギーの元と言えば酸素、つまり熱放散には多くの酸素が必要とされるわけです。
ところが、酸素補給もマスクで遮られてしまいます。
酸素補給がマスクで遮られるために熱中症になりやすいのです。
これが二つ目の原因です。
こういったことが原因で、マスク着用による低酸素と体温調節の破綻が出現し、熱中症の危険性が増す、と考えられるのです。
マスク着用に伴う低酸素症
マスクを着用することで、体内への酸素が十分に行き渡りづらくなります。
特にマスク下でジョギングなどのスポーツを行うと低酸素症は顕著になる可能性が高まります。
低酸素症になると、いったいどんな事が起きるのでしょうか?
低酸素になるということは、脳も低酸素状態になっているということです。
脳は低酸素状態になることでいろいろな症状が出てきます。
その一つが判断力の低下です。
まさに高地にいるような状況ですね。
判断力が低下すると、脱水への感度も低下したり、水分補給への意識も落ちてしまう可能性があります。
つまり、マスク着用に伴う判断力の低下が、この時期の熱中症を助長する可能性があると考えられるのです。
今の時期は特に、普段以上の水分補給や日陰などで体温を下げる工夫などが必要になってきますね。
マスク熱中症と心臓病への負担
マスク着用でうまく熱放散ができずにいると体温は上昇します。
そして、マスク着用のまま無理して体を使いすぎると低酸素症になる可能性があります。
低酸素症の状態で熱を放散させようとすると心臓には負荷がかかり、脈拍が速くなります。
そして、今多くの人が長期化した慢性ストレスを抱えています。
慢性ストレスの影響で自律神経の乱れが起きていることが考えられます。
心臓はストレスに対しても症状が出やすい臓器です。
ということは、マスク下での運動などは心臓にかなり負担がかかり、マスク熱中症に伴う心不全や不整脈などの心臓疾患を起こす可能性が出てきます。
湿度とマスク熱中症
熱中症は気温の高さだけが問題になるわけではなく、湿度がものすごく影響します。
この時期に最も注意しなければならないことは湿度です。
湿度に対して皆さんはどれだけ注意を注いでいるでしょうか?
実は、気温は気にするが湿度を気にしない人が多いようです。
しかし、同じ気温でも湿度が高いと熱中症にかかりやすくなります。
そして、熱中症の危険因子はむしろ温度より湿気なのです。
なぜなら、湿気のせいで体に熱がこもりやすくなり、汗の気化で熱を奪うことができなくなるからです。
さらに、湿度が高くなることで汗が蒸発しづらいうえに、口からの熱放散ができないのです。
つまり、マスクと湿度のダブルパンチで熱中症になりやすくなるのです。
熱中症の初期症状として、めまい、立ち眩み、手足の筋肉痛などがあります。
マスク熱中症予防のために
では、この時期マスク熱中症対策にどんなことに注意すれば良いのでしょうか?
例えば、
①風に当たるようにする
②水分のこまめな補給
③ソーシャルディスタンスを保てているときに適宜マスクを外す
④冷感を感じるマスク、通気性の良いマスクを使ってみる
などが考えられます。
今年は誰もが未経験の新たな夏を迎えます。
どうか、油断せず万全の対策を期してこの季節を乗り切りましょう。