【毎分10万文字・誰でもできる速読脳トレーニング】19.優れた眼を持っている人がスーパースターになる

サッカーの中継をテレビで見ていると、選手たちは、味方や敵方の選手の動きを実によく把握してボールを蹴っているのが見て取れます。視野が広いし、瞬間的に状況を認識して、ボールを渡したい選手を選んでいるのが分かります。さすがに一流選手は、よく見ていると感心します。
2020/04/06

優れた眼を持っているかどうか

スポーツにおける視覚機能を調べるスポーツビジョンという研究分野がありますが、その表現でいうと、この場合、一流のサッカー選手は周辺視力と瞬間視力が優れているということになります。

 

彼らは身体技能が優れていることはもちろんですが,それを実際の試合で生かすことができるかどうかは、優れた眼を持っているかどうかによると言えそうです。

 

スポーツビジョンでは、周辺視力をはじめ、静止視力、動体視力、眼球運動、深視力、瞬間視力などスポーツに必要、あるいは使われていると考えられる視覚の十七種類の機能が取り上げられ、調べられています。

 

どの機能がパフォーマンスに強く関係するかは、スポーツの種類によって異なります。

 

野球では、動体視力が、打撃能力と強く関係していることがよく知られています。

 

ただし、実は、動体視力には2種類あります。左右に動くものを見る動体視力DVA(Dynamic Visual Acuity)と、前後方向に動くものを見る動体視力KVA(Kinetic Visual Acuity)です。

 

このうち、打撃力と関係しているのは、KVAで、実際に、プロ野球の選手を調べた研究によると、二軍の選手よりも一軍の選手のほうが明らかに優れていることが知られています。

 

それだけではありません。

 

あるプロ野球チームでは、8年間に入団した63名について、入団時にスポーツビジョンの全機能を検査し、その後の活躍ぶりを調べています。

 

その研究によると、眼の機能の総合点数は、一軍登録28名のうち常時スタメンで活躍する選手は36点、その他の一軍登録選手は35点、40名の出場枠の選手は34点、それ以外の出場の機会がない選手は32点と、視覚機能の優れた選手は、単に打撃力に優れているだけでなく、実際によいプレーができ、活躍していることが分かります。

 

「目は心の窓」と言われますが、現在の心の状態どころか、その後活躍できるかどうかという選手の未来まで物語っているというわけです。

天才的能力は視野が開発されて育つ

スポーツに関しては、眼球の動きがよくなり、視野が少しでも広がれば、すぐに結果が出てくるようです。

 

私の教室でも、中学生の野球部員で、午前中に2時間ほど速読のトレーニングをしてから、午後の試合に臨んだら、打率10割だったという少年がいました。

 

この子は、もともと打率が5割だったとのことですから、身体技能が優れていた上に、眼の機能が改善された結果の例といえましょう。

 

また、剣道をしていた女子中学生は、速読のトレーニング後に試合に出たら、それまで一度も勝てたことのない相手に勝つことができたと、家族共々喜んでおりました。相手の竹刀の動きがよく見えたとのことでした。

 

しかし、よく考えてみると、視野を広く使うことは、脳の広い範囲を使うことです。

 

図に示すように、眼の網膜に映った像は、大脳後頭部にある視覚野にそのまま写ることが知られています。

ですから、認知視野が広くなり、意識活動に使える視野の範囲が広がることは、実際に脳の広い範囲を使うことを意味しているのです。

 

情報の7、8割は視覚を通して入ってくると言われていますから、そのたくさんの情報を、脳の広い範囲を使って、しっかりと処理できるなら、私たちの知的能力は、通常の生活の中では起こりえないほど、発達すると考えられます。

 

それは、私の教室の受講生の言葉を借りるなら、「知的にも、感性的にも、自分は変わった」という感覚として自覚することになります。

 

それが、幼い子供の頃からなされたら、天才的能力が開かれると言っても過言ではないでしょう。

 

視野と天才的能力の関係について、興味深い例をあげましょう。

 

将棋の世界で天才として知られる、天野宗歩という人物がいます。

 

幕末の文化13年(1816年)に江戸で生まれ、4才で大橋宗桂に入門、神童と言われたほど、子供のときから頭角を表し、長じては当代随一の強さで、実力十三段と怖れられ、「棋聖」と称された人物です。

 

この天野宗歩の残した有名な言葉があります。将棋に興味のある方にはよく知られていますが、彼がその強さの秘密を問われて答えた「四香同視」という言葉です。

 

将棋を知らない人は、「四香同視」と言われてもさっぱり意味が分からないと思います。簡単に説明すると、将棋は王将を中心として互いに20個の駒を持ち、縦9個、横9個の計81個の升目の盤面のなかで、その駒を動かし、相手の王将を倒す勝負です。

 

盤の大きさは、縦約36センチ、横約33センチで、その四隅に置かれるのが「香車(きょうしゃ)」という駒です。

 

「四香同視」というのは、その四隅の駒を同時に見るという意味なのです。

 

後世の一般的な解釈は、「盤面全体の駒の位置をよく見て、その運びを考え、駒を進めること」となっているようです。

 

この解釈は、確かにその通りだと思いますが、それを言いたいのなら、わざわざ「四香同視」などと言わなくてよいはずです。

 

視野を実際に広く使えるようにする指導をしている私が推測するには、天野宗歩は、実際に四隅の香車を同時に見ることができたのだと思います。

 

そして、そのようなトレーニングをするといいよと言っているのだと思います。

 

というのは、「速読脳開発プログラム」のトレーニングから言って、「四香同視」することは可能ですし、そのときの脳の活性化は、まさに天分の才を引き出すものだからです。

 

将棋の棋士は、駒の運び方のいろいろなケースについて、それぞれ何十手も先を読むと言われています。

 

その集中力、イメージ力、記憶力、思考力、直観力などは、常人からは想像もつかないほど、驚異的なものがあります。

 

私には、天野宗歩は、「その能力の基礎は四香同視にあるのだよ」と、言っているように思えるのです。

 

(参考 斎藤栄著「小説天野宗歩 全八巻」)