イマドキの孫育て。素敵な「じぃじ」「ばぁば」になるには(人生100年時代協議会・AGE100PRESS)

「孫はかわいいけど、孫のことでパパ・ママともめることも増えたので、ちょっと距離を置こうかと思って……」「孫育てに協力したいけど、私たちの時代とはいろいろ違うみたいで……」最近、シニア世代からそんな戸惑いの声を聞くことが増えました。孫だけでなく、パパ・ママとも良い関係を築くためのコツをお教えします。
2019/05/31

かわいい孫と気持ちよく付き合うために

孫にかかわるとパパ・ママに怒られる……

孫の誕生日にねだられるままにおかしやおもちゃを買ってあげたところ、「うちではこういうものは与えないようにしているんです」とぴしゃりと言われてしまった……

 

そんな経験がある、じぃじ・ばぁばも多いのではないでしょうか。

 

「孫ともっと一緒に遊びたいけど、パパ・ママがあまりいい顔をしないので、距離を置かざるを得ない」といった話はよく聞きます。

 

時代によって子育ての環境や常識とされることが変わってきているため、すれ違いが起きてしまっているのです。

 

子どもを可愛いと思うのは、じぃじ・ばぁばもパパ・ママも同じ。ちょっとした工夫をすれば、気持ちよく付き合えるようになるはずです。

 

たとえば、冒頭の例なら、「誕生日のお祝いをあげたいから、○○ちゃんと相談して3つくらい候補をあげてもらえない?」とあらかじめパパ・ママに打診しておくのです。

 

そして、その候補のなかから自分がプレゼントしたいと思ったものを買ってあげるといいでしょう。そうすれば、子どもの嬉そうな顔も見られるし、パパ・ママにも喜んでもらえます。

子育てとは一味ちがう孫育て

育児の主役はあくまでも、パパ・ママです。パパ・ママがどんな子育てをしたいのかをきちんと聞き、それを実現できるようにサポートするのがじぃじ・ばぁばの役割です。

 

そのほかにもや孫と関わるときに大切なことを、「孫育て10か条」として以下にまとめてみました。

【孫育て10カ条】

1.育児の主役はパパ・ママ、祖父母はサポーター

2.パパ・ママの話を聞く

3.今と昔の子育ての違いを知る

4.とがめるより、補う

5.他の子、親と比べない

6.手、口、お金は、出しすぎず、心と体力にゆとりを!断る勇気を持とう!

7.「ありがとう」「ごめんなさい」を言う(親しき仲にも礼儀あり)

8.孫のほめ役、夢の最強応援団になる

9.自分のライフスタイルも大切に

10.老いていく姿を見せる

 

もちろん、全部をパーフェクトに実行しなければいけないということではありませんし、家庭によっては、違う関わり方のほうが適している場合もあるでしょう。

 

頭の片隅に置いておいていただければ、パパ・ママや孫との関係がうまくいくことは多いと思います。

パパ・ママ世代とは子育ての常識が違う!?

特に、「3.今と昔の子育ての違いを知る」についてはすれ違いのきっかけになるケースが多いので、気をつけておいたほうがいいかもしれません。

 

最近は子どもも減っているため、パパ・ママはそれ以前の世代に比べて、まわりの子育てを見る機会はどんどん減っていると言われています。

 

ではどこから子育ての情報を得ているかといえば、インターネットやSNSなどです。同じ世代のパパ・ママだけでなく、医師や教育者などいわばプロが発信している情報もしっかり吸収しています。

 

なかには、海外の論文まで読んでいる人もいるほどです。

 

いろいろな情報を得ている今のパパ・ママたちは、それまでの世代がなんとなく受け継いできたやり方が間違っている部分を「それは正しくない」とバッサリ切り捨ててしまうことも。

 

じぃじ・ばぁばにとっては面白くないと思うかもしれませんが、パパ・ママたちは単に、子どもにとってより良いことをしてあげたいと思っているだけなのです。

 

子育ての基本である「愛を持って育てる」などの根本は大きく変わってませんが、お世話の方法など変わっている点があるので、じぃじ・ばぁばは、自分たちが行っていたお世話の方法を当たり前だと思わず、パパ・ママに聞いて情報をどんどんアップデートしていきましょう。

 

参考までに、今と昔で良いと言われている内容が大きく変わったものを、いくつか書いておきますね。

●出産後すぐの沐浴●

体温低下、皮膚のバリア機能を保つため沐浴はせず拭くのみ

●母乳とミルク●

母乳をすすめる。だたし、出る、出ないはママによるので、ママの気持ちを大切に

●日光浴●

外気浴を。紫外線予防のしすぎに注意

●抱き癖●

抱き癖は気にせず、たっぷりと抱っこ。抱っこは赤ちゃんとの愛着形成、信頼関係を築く

●離乳食●

開始時期はゆっくりでいい。かみ砕いて与えたり、大人と同じ箸を使わない(虫歯予防のため)

●白湯・果汁●

お風呂上がりなどは白湯でなく、母乳やミルクを。果汁も与えない

●アレルギー・予防接種●

昔は少なかったが現在は増えている

●洋服●

着せすぎない。なるべく薄着を心がける

じぃじ・ばぁばの大切な役割

じぃじ・ばぁばは孫の心のオアシスに!

ここで改めて考えてみたいのが、子どもにとって、じぃじ・ばぁばの存在ってなんだろうということです。

 

最近では教育熱心なじぃじ・ばぁばがお金を出して積極的に習い事に通わせたり、中学受験を勧めたりするケースも珍しくありません。

 

たしかに学校の成績が良かったり、スポーツができたりすることは自信にもつながるし、後々社会で活躍するきっかけとなることもあるでしょう。

 

しかし、直接的な教育は親であるパパ・ママの役割です。加えて、じぃじ・ばぁばまでもが「がんばれ、がんばれ」といろんなことを期待したら、子どもはプレッシャーを感じてしまうかもしれません。

 

じぃじ・ばぁばにしかできないこと。それは、オアシスのような存在になってあげることではないでしょうか。

 

パパ・ママには言えないわがままもじぃじ・ばぁばだから言える。失敗したときに弱音をはける。

 

悲しかったり悔しかったことを話した時に、叱咤激励するのではなく寄り添ってもらえる。時にはパパ・ママや友達に対するぐちを口にしても、黙って聞いてくれる。

 

そんなふうに何もかも受け入れて、無条件で甘やかしてくれる存在がいれば、子どもは、落ち込んだ時に安心して逃げ込んでくることができます。そしてそれを支えに、またがんばることができるのです。

 

特に、弟や妹が生まれたばかりのお兄ちゃんお姉ちゃんには、いつもより、甘やかしてもいいと思います。パパ・ママは小さい子に手間がかかるのがわかっているので、上の子はがまんをすることが多くなりがち。

 

そのがんばりを認めてあげて、しっかりと甘やかしてあげてください。

ときには叱ることも大切。ポイントは「具体的に」

とはいえ、ときには叱らなければいけないこともあるでしょう。たとえば、生命の危機に関すること。そして他人に迷惑をかけた時。

 

逆に言えばこれ以外のたいていのことには目をつぶってもよいと思いますが、この2つに関しては、ぶれない姿勢で叱らなければいけないと思います。

 

叱り方のポイントは、「具体的に」です。普段大人としか接していないシニア世代は、どうしても直接的な表現を避けて曖昧な言い方をしてしまいます。でも、それでは子どもには伝わらないことが多いのです。

 

「ほら車が来た!危ないよ!」「お店のなかでは騒がないの!」と言われても、子どもにとってみれば、じゃあどうすればいいのかがわからない。

 

「車がこないか見てから渡ろう」「静かに話そう」といったように、具体的に伝えましょう。もっと小さい子どもなら、「(横断歩道で)はい、ここで止まる!ピッ!」「小鳥さんの声でおしゃべりをしよう」などと遊びにするのもいいですね。

 

ちなみに、大人が無意識に言ってしまう「ちゃんとしなさい!」ですが、実は子どもは聞き流していることがほとんどです。なぜなら、ちゃんとするってどういうことかを理解している子どもはほとんどいないからです(笑)。

 

なるべく具体的に伝えることを心がけましょう。

お友達との関係は「うちの孫ファースト」でOK

もうひとつ、じぃじ・ばぁばがついやってしまいがちなのが、公園などでよそのお家の子どもに「おもちゃを貸して」と言われたときに、「ほら、○○ちゃん、貸してあげなさい」と促すことです。実はこれは、パパ・ママでも対応に悩む場面のひとつです。

 

もちろん、既に関心がなくなってそのあたりに放ってあるものなら快く「どうぞ」と言ってあげてもいいのですが(年齢によっては「○○ちゃん、これ貸してあげてもいい?」と一声かけてからの方がいいこともあります)、まだ遊んでいる最中のものは「今、まだ使っているから、ちょっと待っててね」と断っていいのです。

 

じぃじ・ばぁばの世代は、謙虚でいることが良しとされた時代。

 

よそのお家のじぃじ・ばぁばと(もしくはパパ・ママ)と良い関係を築きたいという思いから、つい「○○ちゃんはお姉ちゃんだから、貸してあげられるよね」などと言ってしまいがちです。もしかしたら「うちの孫は快くおもちゃを貸してあげられるやさしい子だ」と思いたい気持ちもあるかもしれません。

 

しかし子どもにしてみれば、今まさに夢中になって楽しく遊んでいるものを取り上げられたら、悲しいですね。

 

おもちゃの貸し借りなど、状況を判断して行動ができるのは、3歳くらいと言われています。

 

それまでは、家の中での遊びのなかで、「どうぞ」「かして」「じゅんばんこ」の練習は必要ですが、その子がまだそれを使って遊びたいと言っているときは、基本的には「うちの孫ファースト」でいいのです。

 

もちろん、遊具の独り占めなどはNGです。

孫だけじゃない。たまご(他孫)も育てて

地域の子どもたちはみんな孫のようなもの

講演会などで、私はよく「シニア世代が考え方を変えたら、日本の子どもは幸せになるチャンスがいっぱいある」と言っています。

 

現代では、共働きの家庭がどんどん増えていています。また、就職や転勤などで出身地を離れて子育てしている家庭も少なくありません。

 

一方で高齢化が進んでいるため、街にはリタイアした高齢者がたくさんいるんです。高齢者が、地域の活動や遊びなどを通じて自分の孫以外の子どももケアしてあげれば、子どもにとっても家庭だけでは味わえない豊かな経験をすることができます。

 

直接子どもと関わるのが苦手な人は、お金を出すという形で「たまご(他孫)育て」に参加するという方法もあります。

 

子育て支援施設に備品を寄付する、ママさんサークルのイベントに協賛するなど、お金で協力できることもたくさんあります。次の世代に気持ちよく子育てできるような社会整備には、お金が必要です。

 

ボランティアで子どもにかかわることだけが社会貢献ではありません。子どもにかかわるひとが得意な人は人にかかわるボランティアを、苦手は方はお金や、スーパーなどで妊婦さんや子連れのかたに「先にどうぞ!」というだけでもいいと思います。

 

必要なところに少しずつ応援や思いやりが集まれば、みんなが楽しく暮らせる未来が来るんじゃないかと思います。

最初は挨拶から。下の名前を呼ぶのが仲良くなるコツ

また、大きな災害が頻発している昨今、昔ながらご近所づきあいが見直されてきています。たとえば、パパ・ママと離れている時に子どもが災害に合ったらどうするか。

 

逆に、一人暮らしのシニア世代がいざという時に安全に避難できるのか。そう考えると、普段からなんらかの関わりを持っていたほうがお互いのためになるとも思うのです。

 

もちろん、誰彼かまわずべったりと付き合う必要はありません。普段は、会えば挨拶するというくらいの関係性で十分です。

 

たとえば、じぃじ・ばぁば同士が親しいご近所さんの孫、お隣の若いご夫婦の赤ちゃん……ちょっと思い浮かべただけでも、たまご(他孫)候補はたくさんいるのではないでしょうか。

 

仲良くなるコツは、ただ「おはようございます」「こんにちは」のあいさつをするだけでなく、あいさつに子どもの下の名前をいれてあいさつをすることです。「ひかりちゃん(仮名)、おはよう」といった具合です。

 

子どもは名前を呼んでもらうと、ぐっと距離が縮まります。大人もそうですよね。あとは、とびきりの笑顔で接してあげてくださいね。